その場がど~んともりあがる雑学の本
相手をリラックスさせる雑学<第2章>
欧米は右側通行、日本は左側通行。自動車のハンドルもこれに合わせて、左右逆であることはご存じのとおり。
ところが、おもしろいことに中世期のヨーロッパ人は左側通行でした。当時の人は旅先などで、いつ追いはぎや敵に出会うかわからない。つねに刀や槍などの武器をたずさえていました。武器はふつう、利き手の右に持ちますので、右側で敵を受け止めなければなりません。そこで、左側通行が必要だったわけです。
ところが、銃が普及してから事情が変わりました。銃は左に持ちます。とっさの場合にパッと左に身をよじらなければなりません。
そこで、右側通行が始まりました。
アメリカの場合は、開拓史時代からの名残です。開拓者たちは、いつインディアンやアウトローに会うかわからない。そこで、つねに銃を持って右側を歩いていたのです。
日本は、武士が刀を使う時代から一足飛びに明治時代に入ったため、銃を持ち歩く習慣はありませんでした。しかし、武士は左腰に刀を差していました。町民も旅に出るときに限り「道中差し」と呼ばれた短い刀を差して歩くことが、とくに許されました。中世のヨーロッパと同じです。自分の身を守る武器を左側にたばねていたため、右手を自由に使える左側通行が生まれたのです。
また、武士にとっての刀は神聖、かつ「魂」です。「鞘当て」と称して刀がふれ合うだけで「無礼者」とばかりにけんか、争論となり、傷害ざたになることも、けっしてめずらしくはありませんでした。一説によると、これを避けるために左側通行になったという話もあります。
洋の東西を問わず、歩道を左右に分けたのは武器の所持にあったようです。
「講談社+α文庫」所収
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