「下馬評」とはいつだれがいい出したか<雑学倶楽部>



「下馬評」とはいつだれがいい出したか<雑学倶楽部>

その場がど~んともりあがる雑学の本
相手をリラックスさせる雑学<第2章>

「選挙の下馬評」「次期社長の下馬評に上がる」などと使われるように、「下馬評」は、当事者以外の人が無責任にあれこれと評することをいいます。

昔の武家社会でのこと。城門には、馬を降りる下馬先があり、お殿さまはそこから歩いて城内に入りました。家来たちは、殿が戻るまでそこで延々と待っていなければなりません。暇つぶしに彼らは世間話、うわさ話に花を咲かせました。役人の異動や、大名の国替えなどの話題が多かったようです。人事関係は、いまも昔も変わらないサラリーマンの最大関心事というわけです。この「下馬先での評判」が「下馬評」のもとになったといわれています。

馬は、かつては日本人の自家用車役を務め、いうまでもなく、たいへん身近な動物でした。いまや競馬場にでも行かないと、なかなかお目にかかれません。馬にまつわる言葉は、「下馬評」に限らず、いろいろあって、昔もいまも生活のなかで使われています。

たとえば、「野次馬」。これは「親父馬」がつまったもの。老いたオス馬は、体力、権力ともになくなり、もっぱら若い馬のあとばかりついて歩くようになります。ここから、いつも人のあとにくっついて、無責任に騒ぎ立てる人を指すようになりました。明治以降には「やじる」「やじを飛ばす」という言葉としても、使われたようです。

また、馬にまつわる言葉として、こんな例もあります。結婚式の「引き出物」は、なぜ「引き出物」なのでしょうか。つまり、なぜ、引き出す物なのかというと、昔、来客に対するおみやげに、馬を庭に引き出してきて選んでもらい、その馬を贈ったという風習があり、そこから発展したということです。

引き出物だった馬も、のちには武具などの品物に変わり、今日のようなおめでたい引き出物に変わっていったのです。

「講談社+α文庫」所収

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