その場がど~んともりあがる雑学の本
相手をリラックスさせる雑学<第2章>
植物にはすべて名前がありますが、人間の生活に役に立たず、農作物の生育のじゃまになる植物をまとめて雑草と呼びました。
この「雑草」という言葉は明治45・大正元年(1912)、世界でもっとも早く、日本で誕生しています。その後、1915年にドイツでun kraut(作物でないもの)、1917年にアメリカでweed(雑草)が生まれました。
なぜ、日本で世界最初に雑草という言葉が生まれたかといえば、高温多湿の気候のせいで、水田に約200種、畑地では350種という雑草王国だからではないでしょうか。
ところで、役立たずの代名詞のようにいわれる雑草ですが、地球環境を守るためには、大いに役立っているのです。
雑草は空気中の炭酸ガスを吸収し、土の浸食・砂漠化を防ぎ、太陽エネルギーの受け皿となり、四季にうるおいをもたらしています。春の七草として食生活をいろどり、色素の原料にもなってきました。
雑草を漢方薬に生かしたのは中国ですが、ロシアではタンポポの白汁でゴムをつくり、雑草の繊維を屋根の資材にしてきました。
雑草は古来、人間の生活に密着してきた植物といえるのですが、学問的な研究対象とはなりませんでした。
ところが、いま、その強い生命力と病虫害におかされない雑草のすぐれた形質を農作物に導入する研究が始まり、遺伝子資源として脚光を浴びています。
銅、亜鉛など有毒な重金属を吸収するワラビ類がその一つ。水質浄化にホテイアオイの利用も研究されています。ひょっとしたら、エイズ新薬が雑草のなかから生まれないとも限りません。今後の雑草研究に大いに期待しましょう。
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