その場がど~んともりあがる雑学の本
相手をリラックスさせる雑学<第2章>
他人の女房と、自分の書いた文章はよく見えるといいます。その他人の女房をほめることは、案外むずかしいものです。
ほめ方次第によっては、亭主に妙な気を起こさせかねません。「漬物ほめれば親父が悋気(やきもちのこと)」ということわざがあります。一方、「漬物ほめれば嬶ほめる」ということわざもあります。
漬物は、その家の女房の人柄を表すとさえいわれます。うまい漬物をつくるには、それなりの気くばりをしないと、うまく漬け上がらないからです。ぬかみそ漬けがよい例。
漬物にまで手がまわる女房は、家事全般にも心が行き届くものです。だから、漬物をほめることは、単に味がよいとかの話ではなく、「できた女房をそばにおくダンナも幸せ者である」とほめたことにもなります。やきもちを焼かれるどころか、「おい、もう1本熱燗をお出し」と、手厚いもてなしを受けることになるかもしれません。
社交術の一つでもあるわけですが、もし、出された漬物がまずかったらどうするか、裏の手も考えておく必要もあるでしょう。
塩がききすぎている、色が悪い、漬け方が悪い、盛りつけに品がないなど、立ち直れないような責め言葉は禁句。その逆をいえば、たいていはほめられたと錯覚します。
いずれにしても、衣服や装身具などをほめたりしては、絶対いけません。あくまで漬物に徹することがコツ。突き詰めれば、訪問のマナーでもあるわけです。
「講談社+α文庫」所収
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