その場がど~んともりあがる雑学の本
相手をリラックスさせる雑学<第2章>
人類がまだ生肉の味しか知らなかった大昔、中国のある地方で豚を飼っている家が焼けてしまい、子豚も丸焼けになってしまいました。
これが焼き豚の元祖ですが、まだ先があります。火事の原因は、子どもの火遊びだったのですが、その子は煙のなかからいままでかいだことのないにおいに気づき、近寄ると子豚が死んでいたのです。
子どもは好奇心が強いもの。その焼けた豚にふれてみました。「アチチチッ」思わず手を口に持っていくと、焼けた豚の皮もついてきました。この子が焼き豚を人類最初に食べたことになります。
父親が帰ってきて事件を知り、子どもをなぐろうとしますが、同じように、においに好奇の目を向け、同じように、手を口に運びました。こうして史上2番目の炊き豚を食べた人が誕生しました。
さらに、3番目には裁判官と陪審員が焼き豚の味に魅せられます。なぜ、裁判官と陪審員が登場するかというと、その家では子豚が
生まれると火事になるので、不思議に思った近所の人々が、ついに親子で豚の丸焼けを食べている姿を目撃。生肉を食べるのが常識の世に、焼けた豚を食べるという常軌を逸した行為が裁判ざたとなったのです。
裁判官たちは、証拠として提出された丸焼けの豚にふれ、そして指を口に持っていきました。その結果、満場一致で無罪の判決を下しました。
じつは、この話はイギリスの随筆家、チャールズ・ラムが書いた『エリア随筆』のなかに出てくる話の要点ですが、原始人が肉を焼いて食べることをユーモアたっぷりにつづったもの。そして、豚の丸焼きのうまさは、かくも人間を魅了するかという過程も含めての一文となっています。
「講談社+α文庫」所収
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