その場がど~んともりあがる雑学の本
相手をリラックスさせる雑学<第2章>
カマンベールチーズやブリーチーズについている皮は、むいて食べるのがマナーという人もいれば、むかずに食べるのがマナーという人もいます。さて、どっちが正式?
元宮内庁管理部大膳課勤務、現在はロイヤルマナーの専門家として活躍する渡辺誠氏が書かれた『西洋食作法』(主婦の友社)によると、フランス人でも短い髪の毛の男性(パリジャン)や短い髪の女性(パリジェンヌ)などは、レストランで気どって食べるので皮をむきますが、ほんとうのチーズのおいしさを知っている人は、皮をむかずに食べるといいます。
チーズ好きのフランス人は「ブリーでもカマンベールでも、チーズの土台となるものは自分の家でつくる。最後にそのまわりにカマンベールならカマンベールの菌を植ぇつけてもらうために、わざわざチーズ専門店に持っていく。だから、皮を食べなかったら自分の家のチーズかどうかわからない。その家独自のチーズの味を楽しむためにも、皮ごと食べる」(渡辺氏)のだそうです。
フランス人の家に招かれて、自家製のチーズをいただいた場合は、皮ごと食べなければマナー違反になるというわけ。菌の量や質が違うと、皮の味も違います。その家の味と香りも招く側、招かれる側の心のふれ合いになるということです。
反対意見としては「チーズの皮は、チーズの味をおいしく保つための包装紙の役目にしかすぎない」というフランス人もいるそうです。何千種類ものチーズがあるフランス人の意見も千差万別のようですが、渡辺氏は、
「くだらない思い込みや、貧困な知識だけではチーズの食べ方を決めつけられません。私は完熟したチーズは当然、皮がかたくなっているので、皮はむいて食べる。熟成が若いうちなら、お好みで……」
と、話しています。
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