その場がど~んともりあがる雑学の本
相手をリラックスさせる雑学<第2章>
泳ぐだけでなく、空中を飛ぶのがトビウオ。ボラ、イワシ、サンマなども水面から飛び上がって跳ねることができますが、いまのところ空中を飛べるのはトビウオだけ。
トビウオは、水面から出た瞬間に胸ビレを大きく広げます。しかし、これだけでは長距離を飛ぶことはできません。揚力を得るために一定の距離を滑走しなければならず、尾ビレも一役果たします。そこで、まだ水中に残している尾ビレを激しく左右にビーティングさせて滑走するのです。
こうしてトビウオは胸ビレに揚力を受けて、海面上2~6メートルの高さをグライダーのように、秒速10~20メートルでサーッと滑空するのです。飛距離は、なんと300メートルにも及び、そのスピードは魚船より速く、時速約60キロとか。
なぜ、トビウオが飛べるのでしょうか。これにはいろいろな説があります。一つには敵(トビウオはカツオなど回遊魚の標的にされやすい)に追われたとき、自分の所在をくらますため。追跡していた魚の前から姿を隠してしまうわけですから、飛び跳ねることは、逃走には非常に有効な手段です。
また、飛ぶことで喜びを表現しているという説もあります。カツオ船の乗組員は、太平洋の真んなかで操業中に、トビウオが群れ飛ぶ姿をよく目にするそうですから、こんな説も飛び出すのでしょう。
さらに、こんな説もあります。トビウオはダイエットのために飛ぶという説です。トビウオのエサは大型のプランクトンだけです。肛門にいたる消化器系のなかに食糧をたくわえる胃袋がありません。そこで、プランクトンだけを食べることによって消化、吸収、排泄をよくし、食物で体が重くなるのを防いでいるのです。
「講談社+α文庫」所収
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