その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>
「必要は発明の母」といいますが、さして必要でなくても、偉大なる発明をすることがあります。
ビールのつまみにぴったりの、あのポテトチップスを発明したのは、アメリカはニューヨーク州のサラトガ温泉にある某ホテルのコックさん。そのコックさん、いつものようにジャガイモを輪切りにしたまではよいのですが、その小片の一つを誤ってフライ鍋に落としてしまったのです。「おっと、いけねえ」とばかり急いで拾い上げ、ついでに口に運んでみると、これがじつに乙な味でありました。
「よ-し、いっちょ試してみるか」
といって、ジャガイモを薄切りにして、さっと油で揚げてみました。それを料理に添えて出してみると、なかなか好評。ときに1867年のことです。
サラトガ温泉に集まる上流階級の人たちが、そのホテルのレストランにおおぜい詰めかけ、ポリポリ、パリパリ口に入れたので、たちまち名物になってしまいました。ネーミングは「サラトガ・チップス」。当時は、上流階級の人たちのあいだで珍味として重宝がられました。
一般大衆の口に入るようになったのは、なんと発明以来58年たった1925年のこと。ニューヨーク州アルバニーで専用工場ができ、大量生産されてからです。ちなみに、日本では第二次世界大戦直後、アメリカン・ポテトチップスの社長、浜田音四郎氏が最初に手がけました。
「講談社+α文庫」所収
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