その場がど~んともりあがる雑学の本
もう少し目立ちたい雑学<第4章>
日本人の 宴会好きは、いまに始まったことではありません。かなりの伝統があるようです。
なにかにつけ宴を催すことは、行事という大義名分をたてに、よくおこなわれています。それは平安王朝貴族の新年宴会の形式にも見られます。
毎年、元日になると、臣下の者たちは天皇にあいさつに出向きます。「朝賀」という行事です。一通りのあいさつが終わると、場所を豊楽殿という大宴会場に移し、盛大に宴を広げました。
当日のごちそうは、うるち米や小麦粉を使い、ゴマの油で揚げた菓子(唐菓物)や干物などが六~七回に分けて出てきます。その間に舞楽を奏でたりして、飲めや歌えのドンチヤン騒ぎがくり広げられたといいます。
ここまでが一次会で、「宴座」といって公式行事は終わります。
一次会は母屋で行いますが、二次会は寝殿の南側のすのこ敷きの「穏座」という場所に移ります。
穏座に入ると堅苦しい雰囲気はなく、まったくの無礼講。席順も自由。ただ、ごちそうは一次会より質素になります。式次第もなく、自由な気分で酒をくみ交わします。出てくる肴は、零余子(ぬかご)焼きや芋粥など、さっぱりしたものが出されました。
気分をほぐすために、音楽が奏でられます。笛や笙(しょう)、ひちりき、琵琶、和琴といった楽器が置かれ、調子を合わせて演奏をし合いました。また、各地ではやった民謡を雅楽の曲に編曲して歌ったといいます。なにやら、タイムトンネルのような気分になってきました――。
「講談社+α文庫」所収
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