その場がど~んともりあがる雑学の本
もう少し目立ちたい雑学<第4章>
夫婦別姓にする天婦がふえてきたようですが、姓は昔は苗字といっていました。昔といっても昭和初期のころまででしたが、その苗字もそれ以前の江戸時代には一般庶民には認められませんでした。つまり、「名」だけでした。
庶民が姓をつけてもよいことになったのは明治維新後で、とくに明治3(1870)、明治政府がそれまで士(武士)以上のものしか使えなかった苗字を農(農民)、工(職人)、商(商人)の一般庶民にも許してからです。
しかし、それでもなかなか徹底できなかったので、5年後の明治8年(1875)、太政官布告により国民の義務となりました。
ところが、どういう姓をつけたらよいか迷う人も多く、地域の長老や村役場の書記に頼んだり、なかには住んでいる地名や場所にちなんで思いつきでつける人も、おおぜいいたようです。
そもそも苗字の「苗」とは、草が新たに萌え出たことをいい、子孫が草のように続々と生じるという意味が含まれています。始めは家の名、つまり「家名」(けみよう)といって、姓(かばねと呼ばれた、もと上代の職名)や氏(血族集団の公式の名)とは別の呼び方をしていました。同一氏族から分かれ出たという意味で、「名字」と書くわけです。「名」という字を分解すると、夕と口でできていますが、これは夕闇で自分の存在を示すために、声を出すことに由来しています。
結婚したら夫側の家名にすべきか、別々にすべきか迷っているカップルも多いでしょうが、姓名の由来など、もう一度考えてみるのも決断の参考になるかもしれません。
「講談社+α文庫」所収
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