その場がど~んともりあがる雑学の本
もう少し目立ちたい雑学<第4章>
「いやあ、社長の誕生日に招かれて行ったら、すごいごちそうでね。椀飯振舞って、ああいうのをいうんだろうね」
「椀飯振舞」とは、盛大なごちそうのことをいいます。椀飯は、かまで煮た飯を椀に盛りつけたもの。平安時代には、 朝廷に仕える大臣が皇居に参上した場合に、 宮中で働く役人たちにもてなした食べ物で、屯食といって、握り飯と同様の弁当のたぐいのものでした。『吾妻鏡』という鎌倉時代の史書には将軍ををもてなすときにも、この弁当を出し、それに一洒一肴だけの簡単な宴を催したということが載っています。
鎌倉時代中期以後になると、儀礼的なものから実用的となり、弁当がわりに出すものを椀飯というようになりました。
さらに、江戸時代には庶民層にも広まり、一家の主人が正月に使用人や親類、縁者を集めて催した宴会を、椀飯振舞というようになりました。酒や肴などが食膳をにぎわし、ドンチヤン騒ぎをして相互の親睦を深める大宴会でした。
ところで、日光輪王寺では強飯式(ごうはんしき)といって、茶碗にご飯を山盛りしたものを、大名や役人に食べさせる儀式が現在もあります。また、地方の民家などでおこなわれる酒宴の席では、ご飯を山盛りにして出す風習がありました。これらの風習は、平安・鎌倉時代の上流社会でおこなわれていた椀飯振舞の名残であるともいわれています。
節振舞(せちぶるまい)といって、正月の晦日(みそか)のうちに親戚や旧知の間柄にある人を招き、あるいは訪問して酒宴を振る舞ったり、ごちそうになることも、椀飯振舞と同じです。
「講談社+α文庫」所収
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