その場がど~んともりあがる雑学の本
相手の気をひく雑学<第1章>
発射6秒前、第1主力エンジンが点火されると地を震わせながら響く轟音。発射台の周囲の地面から立ち上る水蒸気、そして発射。補助ロケットの根元から白い火柱が立ったかと思うと、機体はふわりと宙に浮き、勢いよく発射台を離れます。
しかし、発射が成功しても、ロケット打ち上げ成功とはいえないのです。
初の純国産大型ロケットH-・の打ち上げの場合、発射後、固体ロケットブースター、第1段液体酸素タンクを次々分離し、第2段エンジンに点火します。そこで、ロケットが軌道に投入されたことを確認してエンジンをいったん停止させ、軌道再突入実験機を分離します。
その分離作業が終わるとエンジンに再点火し、 H-・の静止衛星打ち上げ能力を確認する衛星を軌道に投入する──。こうした一連の作業を無事に終了したときに、初めてロケット打ち上げに成功したとなるわけです。
ロケットが人工衛星を分離して、その流れ作業が終わるまでの時間は、発射後28分間。 H-・ロケットは部品点数が10数万ともいわれています。そのどれ一つの部品に欠陥があっても、打ち上げは成功しません。それだけに、スタッフはロケット発射から衛星の分離まで、わずか28分に命をかけているのです。
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