その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>
「3度の飯より好き」などといいますが、ご飯だけはしっかり3度食べるのが一般大衆。いまどき、一日2度しか食事をしないという人は、相撲力士とダイエット中の女性くらいなもの。忙しすぎて昼食を抜かしたり、二日酔いで箸も持てないという人は論外。ふつうの人はきちんと3度食べます。
しかし、3度食べる食習慣は、徳川三代将軍家光のころからです。鎌倉時代の食事回数は、2度が原則でした。たとえ3度食べても、昼食は野菜の漬物程度の簡単なものですませていました。3度食べるようになってからでも八代将軍吉宗は養生のため、一日2食しかとらなかったといいます。
では、なぜ2度しかとらなかったのでしょう。じつは、当時の文献をいろいろひもといてみると、2度食の習慣は武士や公家社会のことで、鎌倉・室町時代の農民や職人は、一日3度も4度も食事をとっていたらしいのです。汗水流して働く一般大衆は、必要に応じて食べていたわけです。
武士とても野山をかけ回れば、腹もすきます。戦地での活躍は肉体労働に違いありません。戦いがつづくにつれ、3度食が習慣化していったようです。
この武士の食事習慣が、しだいに3度の食事風習となっていきましたが、もう一つの理由も考えられます。
それは、米の生産量がふえ、米を主食として一度に食べる量が多くなり、3度に分けて食べるようになったという健康上の理由です。ということは、2度食時代であっても1回に3度食べるに負けないくらい、大食する人が多かったのかもしれません。
「講談社+α文庫」所収
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