日本の船名はどのようにして名づけるか<雑学倶楽部>



日本の船名はどのようにして名づけるか<雑学倶楽部>

その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>

1泊2日という短いクルーズから世界一周まで、いまや豪華客船による旅を楽しむ人がふえています。その客船名はどのようにして名づけるのでしょうか。日本籍最大のクルーズ客船「飛鳥」(日本郵船)など、船名も時代とともに変化しています。

「飛鳥」の場合は、わが国の文化の黎明期にあたる「飛鳥時代」にちなんで命名されました。同社によりますと、「日本のクルーズ文化の黎明期を築く、海運史に残る船名に」という願いが込められているそうです。

では、なぜ「飛鳥」は「あすか」と読ませるのでしょうか。飛鳥文化の発祥地である奈良県の明日香村一帯は、昔から飛鳥と呼ばれていました。明日香が飛鳥になったのは元明天皇が「飛ぶ鳥の明日香の里をおきていなば君があたりは見えずかもあらむ」(『新古今集』ょり)と詠んだように、明日香のまくらことばとして「飛ぶ鳥」という句がよく使われたので、そこから「飛鳥」の字をあてるようになったといいます。

「○○丸」といった船名は、もう古いというわけですが、船名は、<1>覚えやすい、<2>読みやすい、<3>聞きとりやすい、<4>ほかの船と区別しやすい、などの条件を加味して考えるそうです。

昔は「鎌倉丸」とか「氷川丸」のように、神社の名前にちなんだ船名が多く、これは航海の安全を祈る意味もあったからです。

日本郵船の場合は、貨物船では航路別、船種別にイニシャルを統一しています。たとえば、欧州航路ならKで始まる神社名(鞍馬丸、北野丸など)、あるいは、地名からとっています。タンカーの場合は、Tのつく名前をつけました(竜田丸、竜野丸など)。さらに、N・Y・K(Nippon Yusen Kaishaの頭文字)から「新田丸」「八幡丸」「春日丸」といった名づけ方もしています。

「講談社+α文庫」所収

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