その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>
平成9年(1997)4月から消費税がアップし、5パーセントになりました。1円玉が1個足りないばかりに、1万円札で支払わなければならない場合もあります。まさに、「たかが1円、されど1円」といわざるをえません。
「1円玉」が通貨として登場したのは、昭和30年(1955)のことです。1950年代といえば、スーパーマーケットが日本に台頭し始めた時期です。スーパー商法は俗に「イチキュッパ」(198円)などと、大台を切る価格設定が売り物で、割安感を前面に出しながら急成長してきました。同時に生活苦の財布のなかに1円玉があふれるようになり、逆にスーパー側では釣り銭不足に悲鳴を上げ、1円玉集めにやっきとなりました。昭和38年(1963)ころのことです。
大蔵省ではその不足解消のため、翌39年に前年の倍を上回る16億7000万枚の1円玉をつくりました。以後、毎年10億枚台の新貨が鋳造されつづけてきましたが、平成元年(1989)には、なんと23億6697万枚もの1円玉が造幣局でつくられました。史上最高です。理由はこの年、3パーセントの消費税が導入されたからです。それ以後、また、平均10億万枚で推移していますが、平成9年度の鋳造予定は12億5000万枚(大蔵省国庫の話)だそうです。
消費税導入時のような大幅増加はありません。理由は少なくとも、3つほど考えられます。1つは税率が5パーセントと切りがよくなったことと、消費税の小銭の支払いのために生活者が1円を大切にするようになったことだと思われます。以前のように、どこかに置き忘れたり、落としても探さないといった意識がなくなり、1円玉が貨幣としての市民権を確実に保ち、正常に流通し、不足しなくなったためと思われます。
ついでにいうなら、1円玉は直径2センチ、重さが1グラム。ものを量るのに、とても便利です。
「講談社+α文庫」所収
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