その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>
日本の年中行事は、諸外国に見られないほどたくさんあります。鏡開きや初午、冬至など、さまざまな行事があり、昔から祝ってきました。
これは、日本が季節の変化に富んでいること、感受性がゆたかな国民性を持っていることが、行事を生んだ背景にあります。なかでも大きな要因は、日本が農業国であるということです。農業暦を中心に生活のサイクルが決められ、そこに古来の信仰心や中国からの伝承が加わり、日本独自の年中行事をつくり上げました。そして、あるものは時代とともに消え、あるものは科学時代の今日まで脈々と伝わり、しきたりとなって生活のなかに溶け込んでいます。
七夕祭りや盆踊りのように、本来の行事の意味が薄れ、観光資源としてのショー的な要素が強くなったものもありますが、その根底に流れるものは、昔と変わらないものが感じられます。現在もなお、伝わるものには情趣ゆたかな、心なごむものばかりです。
これは年中行事のしきたり、習慣のなかに、道徳や人づき合いの作法があるからではないでしょうか。作法を通して子どものしつけを学び、地域や団体の連帯意識が芽生え、育ちます。そして、行事のなかに健康祈願や健康維持の知恵が溶け込んでいるのです。一方では、迷信だとか、むだが多いといわれながらも昔からそれを信じ、守り、おこなわれているわけです。
しきたりは、人間祉会の必然性であり、人々はそれを生活の潤滑油としてきました。このことが、日本人の時代を超えて心の根幹となっているのではないでしょうか。
「講談社+α文庫」所収
【Amazon.co.jp】書籍、CDから家電まで購入金額1,500円以上で国内配送無料。
Copyright(c)2002-2010 Kenji Noguchi. All Rights Reserved.