その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>
私たちの体は夏暑くなると、暑さのぐあいに応じて体温を上げないようにするメカニズム(体温調節機構)が働きます。
一つは発汗。体の皮膚全体にあるセンサーと、深奥部から送られる信号が脳を刺激して汗腺に発汗を促します。1リットルの汗で、体温を12度下げるといわれています。汗をかけない「無汗症」の人は、ちょっと暑くなると体温が急上昇し、熱中症になってしまいます。
もう一つは、皮膚からの放熱です。体の内部で温度が上がった血液を体の表面に集め、毛細血管を広げて放熱します。暑くなると顔が赤くなるのは、そのせいです。
全身を流れる血液の量に増減はないので、心臓に戻る血液が減少します。そのため、心臓が1回で押し出す血液量が減ってくるので、全身に血液を送ろうとすると心拍数がふえ、心臓がドキドキするのです。
こうしたことが難なくできれば、暑さに強い、体力がある人といえます。専門家は呼吸循環機能と呼びますが、これが体力の基本。ふだん、きたえていないと「夏に弱い体」になります。
人類は長い進化のなかで「裸のサル」になったかわりに、「放熱器官」としての汗腺を発達させてきたのです。チンパンジーやゴリラには体温調節に有効な汗腺がごく少ないのに、人間にはなんと500万個もあるそうです。汗を自由自在にかけるのは、ほかの動物にない人類の最大特徴といってもよいでしょう。
―これが、人間はもともと熱帯型動物だったという説の有力根拠にもなっています。
「講談社+α文庫」所収
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