その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>
中国は殷時代(紀元前1000年ころ)の最後の王様に、酒と女にうつつを抜かしたといわれている紂王という暴君がいました。
漢の司馬遷の『史記』のなかに「殷本紀」という一遍があり、そのなかで紂王のご乱行ぶりが詳細に描かれています。「酒池肉林」の宴がそれ。
紂王は姐己という愛妾におぽれ、彼女を喜ばせるためなら、どんなことでもしました。たとえば、大宮殿を建て、大庭園もつくってやりました。また、大きな穴を掘って、なかにはヘビやサソリを入れ、気に入らない女性を裸にして投げ込むような乱暴なこともしました。そうしたことを楽しむといったサディスティックなことも平気でおこなったのです。
それに飽きると、池を掘って、そこに酒を満たし、酒粕で山を築いたりもしました。その山の上に樹の枝をさし、切り裂いた肉をぶら下げて林に見立て、そのまわりを裸の男女が舞い踊ったといいます。
そして、裸の女性同士にけんかをさせて、勝った者には池のなかの酒を与え、負けた者は酒粕に埋め込んだそうです。この大乱痴気騒ぎは120日間もつづいたと書いてあります。酒や女におぼれ、時の政治を離れたため、殷の国は間もなく滅びてしまったといわれています。
とても現実離れした話ですが、この話から大宴会でのハメをはずしたバカ騒ぎなどのことを、酒池肉林にたとえていったりします。
いつの世も為政者たるものは、悪趣味な想像力を働かせないで、本業に精を出してもらいたいものです。それにしても、会社の宴会などでは、大乱痴気騒ぎは厳に慎みたいところです。
「講談社+α文庫」所収
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