その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>
日本には、いつごろから酒があったのでしょうか。中国では4000年の昔、夏の国に儀狄という人物が酒づくりを発明して、禹王に酒を献納したと伝えられています。禹王は、その酒を飲んで「こんな美味なものがあるのか。国民のあいだに広まれば、かならずや家、国家を滅ぽす者も出てこよう」といって、酒づくりは禁じたといいます。しかし、一度美味を覚えてしまうと、いかに王が禁じても酒はどんどんつくられました。
もちろん、中国の酒は米を原料にしたものですが、では、日本の場合はどうでしょうか。酒づくりに関しては中国が先進国。日本人は海や川で魚貝をとり、野山をかけめぐって鳥獣を追い、果実をとって生活を営んでいました。つまり、漁猟生活だったので、米がなかったのです。こうした時代(縄文式土器の時代)が2千2、3百年つづき、その後、弥生式土器時代になって田畑を耕すようになるのですが、そこで初めて穀類酒がつくられるようになります。
米の酒ができる前、縄文式土器の時代にも酒に関する器が出土していますが、では、そのころはどんな酒だったのでしょうか。おそらく、ブドウの実などを原料にした果実酒だろうといわれています。果実にも糖分があり、空気中の酵母菌が付着すれば自然に発酵作用を起こし、糖分を分解して酒精分を生みます。アルコール分は低いのですが、立派な地酒となるので、古代人もけっこう地酒を楽しんでいたのではないでしょうか。
「講談社+α文庫」所収
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