わがモノたち【原田宗典】

わがモノたち


書籍名 わがモノたち
著者名 原田宗典
出版社 新潮社(178p)
発刊日 1998.7.1
希望小売価格 362円
書評日等 -
わがモノたち

文庫本の楽しみは、単行本時(この場合は平成7年6月)にはなかった解説が加わること。机上左に段重ねで軽手みなしだったが、久しぶりに手に取って解説にオヤ!解説はメジャー寸前のあのサギサワではないか。

おじんギャルの先達にもれず、麻雀を主とするギャンブル誌に泥酔顛末を書き殴っている鷺沢崩が解説している通り、五級スーパー、チューブチョコ、プラモデルなど消えていったもの、今も名は残るが姿を変えているもの達へのオマージュの数々がここにある。

もう無いものでは8ミリカメラ、ビデオではなくフィルムのもの、お手軽にできる家庭映画館、永久にあると思った超ベストセラー商品だったが・・・筆者はステージ記録が[私にも写せます」だったため、ビデオへのダウンにえらい苦労をした覚えがあるが、この体験からも時々の制圧商品にハス目ができてしまった。

だがこの商品の動く写真、ワガモノ映画の大衆化こそ、年代からみて当時こども現在ビデオ親父を成立させたのだ。同類項は贅沢だった頃の黒い電話機、布製のズックしか無かった頃のバスケットシューズ等など。

今もあるが中身が替わっているのは、例えば昆虫採集セット、昔はちゃちいが何と注射器・針、クロロホルム付きだった。シュブ中が見れば目がテンだろう。ライター、ないわけではないが100円ライターに席巻されてしまった。残っているのは街中のジッポー愛好者と飲み屋ではまず見ないブランド超高価品、当時はダンヒルが随分重かったが・・・でも競って買ったものだった。昭和40年代当時でもン万円はした代物である。

脚付やアート入り冷蔵庫も同じ優越感をくすぐってくれたモノ、あるいはかっこよさの見本だった頃のバンドエイドまた馬鹿でかいほどこれみよがしだったヘッドホン・・・いや、これは復活しつつあるか、等など。

軽妙な筆致が持ち味の著者とはいえ、いささかオマージュの程が軽過ぎる欠点
を除けば若者にはヘぇ?、中年以上にはオレもこれはあの頃!の連続で、その証左は9つ違いのサギサワに示されている。もっとも鷺沢もモー30歳か。(修)

プライバシー ポリシー

四柱推命など占術師団体の聖至会

Google
Web ブック・ナビ内 を検索