「未完成」の謎学【人間おもしろ研究会編】

「未完成」の謎学

一つの視角からの文献渉猟


書籍名 「未完成」の謎学
著者名 人間おもしろ研究会編
出版社 青春出版社(254p)
発刊日 476円
希望小売価格 1,890円(税込み)
書評日等 -
「未完成」の謎学

これはお手軽アンソロジーとは一寸異なった力作。渉猟された図書が75冊なのに対して、6章立てで取り上げられたテーマは58テーマ。それも「未完成」という視角から追ったもので、ずばりの署名はほとんど無く、これまでの読書量と新たに該博な知識を生かしての勘による探りしかない。それも役立つ部分は少ない、75冊の背後にはもっと多くの図書が隠されていよう。

その人の人生観が浮き彫り
主として作家、芸術家の生涯とその最後の未完成に終わったとされる作品や映画監督や映画スターの遺作が取り上げられている。最も有名なのはモーツァルトの「レクイエム」だろうが、第1章の「命燃え尽きるまで完成めざした「未完成」」の2項目に─「地獄の使者」に依頼された曲が、自分の鎮魂歌に─で例の映画アマデウスでの謎の依頼主が解き明かされている。

意外な結末、こんな事例
あまり周知されていない例を少し紹介すると、まず、アインシュタイン。発表当時、自身が「この理論が理解できる者は、世界に7人といないだろう」といった相対性理論ばかりが有名だが、それは死の30年前に過ぎず、その後は宇宙の謎を究極的に解く統一場理論に取り組んだが未完に終わったという。だがその流れは最新の超ひも理論に継がれているのだ。

オーソン・ウエルズの遺作「風の向こう側」の場合は所在も知られているが、13年の制作の間の資金的トラブルが尾を引き、最終編集のみを残して中断、今も所有権争いが続いているが、本人はもはや他界。永遠の未完ともいえる作品がSFシリーズ「宇宙英雄リーローダン・シリーズ」だ。

チーム・リレー形式のため作者は読者がいる限り不滅という案配。61年9月送り出されて以来、本国ドイツでは合わせて1600冊!.ちなみに邦訳版も200巻を超えている。こんな、どこかで読んだがあれはどうだったかなの話のオンパレード。(修)

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