まだのどかな時代だった昭和30年代。都内の小学校の校門前には、下校時をねらって、さまざまな物売りのおじさんたちがやってきた。例えば、手品の小物を売るおじさん、吹き矢を売るおじさん、中でも人気があったのが粘土屋のおじさんだ。
素焼きの型に粘土を詰めて形を抜き、それに赤や青、金銀などの粉で色付けして、その出来映えを競う遊びだ。型は動植物や、当時の人気漫画のキャラクターなどで、5センチ角の小さなものから30センチもある大きなものまでさまざま。自分の作品をおじさんに見せると、出来映えに応じて5点とか10点のカードをくれる。
このカードを集めると、高くて小遣いでは買えない金粉、銀粉や、10センチ、20センチの型と取り替えてくれる。点数カードは次回も有効だから、みんな次にいつくるのか楽しみにしていた。
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