高沢皓司「宿命」(新潮文庫)を読んだ。日航機「よど号」をハイジャックして北朝鮮に渡った元赤軍派のメンバーのその後を、克明に追ったノンフィクションだ。
事件は1970年(昭和45年)3月31日に起こった。ハイジャックのメンバーは、リーダーの田宮高麿、小西隆裕、岡本武、赤木志郎、若林盛亮、安部公博、田中義三、吉田金太郎、柴田泰弘の9人。このうち田宮、岡本、吉田の3人はすでに死亡、柴田は88年5月に国内で逮捕、田中も今年6月タイから強制送還され逮捕された。「身代わり人質」で名を売った当時の山村新治郎運輸政務次官も、すでに死亡している。30年という歳月は重い。
南北朝鮮の交流が話題になっているが、日朝関係はどのような展開を見せるだろう。元赤軍派メンバーが深く関わったとされる「日本人拉致疑惑」の真相が明らかにされる日は来るのだろうか?(2000.8.22)
- 高沢皓司「宿命」新潮文庫
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