テレビのニュースを見ていると「犯人はバールのようなもので戸口を破って侵入したもようです」といった表現が結構出てくる。しかし、「バールのようなもの」って一体どんなものなんだろう。
まずバールがどんな物か知らなければ、いきなり「バールのようなもの」と言われても想像力が働かない。バールとは、長さ50~60センチの金属製の釘抜きで「かなてこ」ともいう。昔はいざ知らず、最近は釘を抜く需要が少ないし、かさばることもあって一般家庭の道具箱ではほとんど見かけない。
こんな死語というか死物に近い物を比喩的に使用するのはいい加減にやめてはどうか。この現象を徹底的におちょくったのが清水義範の短編小説「バールのようなもの」(文芸春秋「バールのようなもの」所収)だ。結構笑える。
- 清水義範「バールのようなもの」文芸春秋
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