NHKの金曜時代劇「茂七の事件簿ふしぎ草紙」が結構面白い。時代小説や時代劇は、あまり読んだり観たりしないのだが、原作が宮部みゆき「本所深川ふしぎ草紙」ということであれば話は別だ。宮部の作品は、下町の人情話や、怪異話に重きが置かれており、時代物ということをあまり意識させないところがいい。
江戸時代には、各地の不思議な現象を七つずつ集めて「○○の七不思議」というのが流行したらしい。江戸では本所、麻布、番町のものが知られているが、なんと言っても「本所の七不思議」が一番有名だ。・置いてけ堀、・馬鹿囃子、・送り提灯、・落ち葉無き椎の木、・津軽屋敷の太鼓、・片葉の葦、・消えずの行燈、の七つが一般的だが、このほかに三笠町の旗本屋敷が舞台の「足洗い屋敷」などの話もあり、これらが入れ替わって七つに数えられる場合もある。宮部作品は「津軽屋敷の太鼓」の代わりに「足洗い屋敷」を採用している。
なお、文藝春秋編「妖怪マンガ恐怖読本」(文春文庫)には、昭和2年(1927年)の「文藝春秋」7月号に掲載された、柳田国男、芥川龍之介、尾佐竹猛、菊池寛というそうそうたるメンバーの座談会「妖怪変化を大いに語る」が再録されていて、これがまた結構面白い。(02.08.23)
- 文藝春秋編「妖怪マンガ恐怖読本」(文春文庫)
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