定規の中でも、三角定規には、なぜか真ん中に丸い穴があいている。じつは、この穴にはいくつもの効用がある。
まず、空気を抜いて定規と紙を密着させるという役目がある。穴のぶん摩擦が少なく、紙の上で滑りやすいし、持ち上げるときは、穴に指をかければすぐに取れる。プラスチックは夏は伸び、冬は縮むという性質があるが、穴がその伸縮を調節して変形を防いでくれる、といった具合だ。
穴が円形になっているのは、角があるとひび割れしやすいが、円なら強度が均等に保たれるというわけで、三角定規の穴は実に合理的にできているのだ。
※この件に関して、以下のようなメールが届いているので、併記しておきます。
はじめまして。私は三角定規を造っているメーカーの者ですが、HPを拝見させていただいて少し疑問があるのでメールいたしました。三角定規に穴をあけている理由ですがこれは定規をしっかり固定しやすくするためです。紙上で滑りやすくするというのとは全く逆です。
三角定規は面積も大きいし形も三角形とあって線を引いた時にズレてしまうことが多いのです。定規と紙の境を押さえるといいのですが、定規の縁だけでは中央部がおさえられません。そこでまん中に穴をあけて指で押さえられるようにしているのです。ですから丸い穴よりも定規と同じ三角形の穴の方が使いやすいはずです。なぜ丸い穴が多いかといいますと、単にあけるコストが安いということです。
それに、穴をあけて紙に密着したり、滑りやすくなることはありません。穴のない三角定規と比べてみました。もちろん、温度による収縮を調節するなんて働きはありません。熱の収縮の少ない木製でも金属製でも基本的に三角定規には穴をあけます。いろいろ書きましたが、気を悪くしないで下さい。でも、ほんとうの事なので信じてください。
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