8月26日、現代詩を代表する詩人の一人、田村隆一が亡くなった。海外ミステリー紹介の草分け的な存在でもあった人で、わかりやすい言葉で時代を風刺するダンディな詩人として人気があった。
1947年、鮎川信夫、北村太郎らとともに詩誌「荒地」を創刊。詩作のかたわら、52年から4年間、早川書房に勤務、海外ミステリーの紹介を手がけた。酒をめぐるエッセーや紀行文など数多くの著書があるが、中でも田村の少年期や「荒地」創刊前後の青春群像を描いた「若い荒地」(思潮社)がイチ押し。森川義信や牧野虚太郎など夭折した詩人たちの詩もいい。
鮎川信夫に続く田村隆一の死で、現代詩の影がますます薄くなっていくような気がする。(1998.8.29)
- 田村隆一「若い荒地」思潮社
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