H.G.ウェルズが1897年に「透明人間」を発表して以来、「透明人間になれれば、女湯なんかのぞけちゃうんだもんね」などと思っている人も少なくないだろうが、考えを改めた方がいい。
「透明人間」の主人公グリフィンは、「吸収、反射、屈折のどの作用も行われないときは、その物体は見ることができない」と考え、飲むと空気の屈折率と同じになる薬を発明した。着想は面白いが、空気と同じ屈折率をもった目では、どこにも像を結ぶことができず、何も見えないということになってしまう。
また、皮膚はもちろん、内蔵も、骨も無色透明だとしたら、紫外線に当たると死んでしまうだろうと言われている。夢がないね。
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