恐ろしい、奇妙な、不思議な、奇跡の、謎の・・・偶然
書籍名 | 「偶然の一致」体験 |
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著者名 | 超常現象追跡班 |
出版社 | KKベストセラーズ・ワニ文庫(239p) |
発刊日 | 1999.6.5 |
希望小売価格 | 524円 |
書評日等 | - |
同じ時期に同じ類の本がよくでるものだが、この本は実話を丹念に拾い、くくりを入れてまとめたもの、そのくくりが冒頭見出しの、恐ろしい~謎の、の5分類。同時期の同類の本のように解釈を入れていないだけに、かえって好印象。
大事件、大事故にみられる偶然の一致、その最初のくくりは「恐ろしい」。ハマの大魔神・佐々木投手の数字22、誕生日は2月22日の午前2時22分、背番号22はスカウトした人と同じ、球団事務所番地も2の22、構えた自宅の郵便番号は222、電話番号の末尾も22、愛娘の誕生時間も午前2時22分とまぁー。
航空機事故にはとかく2がくっついているという説。1985年、日航機事故は520名、12日、123便、このように2が含まれる。また、その7年前の2日に大阪での尻もち事故、1985年は航空機事故が世界的に多かった年だが、いずれも2の付く日が多かったという。
「奇妙な」では、ジョン・レノンの有名な例、犯人の名は当時TV番組作成中のジョン役の俳優の名と同じ、またジョン自身がレコードを逆回転させれば死を予言していたとも取れる痕跡を残しているという。これは、意図的な挿入ものは別として、タモリの空耳アワーと同巧曲だが。
ジェームス・ディーンのポルシェ事故、友人の中には車に不吉ななにかを感じ取っていた人がいたし、また、友人たちは当日のドライブに挙って反対していたという。
同乗者も数年後に事故死、現場に立ち会ったカメラマンも一友人も事故死、さらにその後のポルシェ残骸を引き取った人も事故に出会っているし、最後には残骸は運搬中に忽然と姿を消したままだと続く。
偶然事象にも科学の接近が・・・
タイタニック悲惨の先行小説は有名だが、さらにその小説以前に予告小説が新聞にコラムとして掲載されていたことを紹介し、その筆者自身がタイタニック号に乗り犠牲になった、というトピックから始まるのが「不思議な」の第3章。
阪神大震災の折の不思議は、発生を予感していたような喫茶店の話、その店名は「コーヒーハウス5時45分」、正にその時刻。
「奇跡の」章では、一卵性双生児の話が面白い。日本でも、東大、旧東京教育大で研究されていたが、いかにもアメリカらしく、離ればなれの双生児の壮大な研究報告、もっとも著名な「ジム双生児」のケースを見ると、いずれも130キロ離れて里子に出されたが、爪を噛む癖、共にリンダという女性と結婚、子供に付けた名前が同じ、離婚後の再婚相手の名前も同じ、職歴も保安官補、ガソリンスタンド、マクドナルドと順も同じ、チェーンスモーカー、趣味は日曜大工で自宅には半地下の仕事場、飼い犬の名はトーイ、そして決定的な符合はジムという名前自体が里子に出された先で付けられた点だ。2人は39歳にして再会し、互いにその酷似に瞠目、死寸前の病気の日時も同じだったことを知るのである。
最後の「謎の」では、1918年第1次大戦中、攻撃された飛行機から逃れたが、落下中にその飛行機がひょっこりやって来てそれに馬乗り、そして何と飛行機はバランスを戻し無事着陸という例、ダイアナ妃とパパラッチの裏話等々。
5つの章くくりは、必ずしも相互に峻別できるくくりとはなっていない感がある、が恐らくは、個々の偶然があまりに特殊なために、それぞれの偶然事象から感じるインパクト部分の表徴が人々によって異なってくるからであろう。多数決のKJ法的処理はしばしばかくの如く帰結する。(修)
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